「タイムリーパーまりな」うらすじ解説



Finalで「真相はExtraで明らかになるゾ」的な煽りを書いて、
Extraの投コメあたりで解説する予定だったが、
投コメで全然説明してなかったので書いた。
消化不良でおTNTNいらいらしてたおにいさま方ゆるして。


これは夢なのか現実なのか

ゲーム中で明確に回答が出ているわけではないが、
状況証拠から判断するに、ゲーム中の世界は「夢の世界」であると推測できる。
その根拠は以下の通り。

根拠1:日記を書いているまりな(Tabby)はゲーム内のことを「夢」と認識している
 ・真END後に増える日記
 
 ・Extraクリア後に増える日記
 
 日記の記述内容から察するに、記述者はゲーム世界を「夢」と認識している。
 また、ゲーム内のまりなに対する呼称が「私」(原文だと”I”または"me")
 になっていることから、まりなの内に存在する別の人格ではないかと推測できる。

 では、ゲーム内のまりなと日記の記述者、どちらが上位または主の人格なのか。
 これについては、日記の記述者はゲーム世界を「夢」と認識しているが、
 ゲーム内のまりなは外の世界や記述者の存在を認識できていないことから、
 日記の記述者の方が、ゲーム内まりなより認知力が上=主人格の可能性が高い様子。

 どちらもまりなでは分かりにくいため、
 以降、日記の記述者を「現まりな」、ゲーム内まりなを「夢まりな」と呼称する。

 現まりなは何らかの事故で片腕を失っていることは真ENDからも伺える。
 夢まりなは、事故で片腕を失う前の姿を保ってはいるが、
 外の世界に出ることはなく、8:30に目覚めて0:00に終了する世界をループしている。
 どうやら日記は現まりなと夢まりなを繋ぐ橋渡しの役目をしているようだ。

根拠2:怪異サイドにも「霊が視える」だけでは説明し切れない存在がいる
 特に顕著なのがこの二者。
 ・クソデカネズミ
  
 ・隣人
  
 両者を「ホラーゲームだからねえ...」と片付けてしまうのは簡単だが、
 現実には子供よりデカいネズミは居ないし、
 ましてや首が伸びるウーマンなど居るはずがないわけで、
 この世界が現実であると考えるよりは、夢の世界であると考えたほうが説明がつく。

根拠3:外の世界を認識していながら、外には出られない
 扉に内鍵がかかっているわけでもなく、
 また窓から隣人が覗いているので、外の世界のことは認識しているようだが、
 怪異てんこ盛りの屋敷にあって夢まりな自身外に出ようともしないし、出られない。
 コメントにある通り、ドーンハンマーで家ごと吹き飛ばすとか、
 家ごと焼き討ちするような過激な手段はさておき、
 現実の出来事なら、外に脱出するくらいはできても良さそうなもんである。 


どこまでが夢なのか

これもゲーム中で明確に回答が出ているわけではないが、
ゲーム内世界が夢の世界なのだとすれば、
Daddy殺しEND・Daddy救出END・家族惨殺END・家族救出END全てが
まりなの夢の中で行われていたことであり、
真ENDのみが現実世界の出来事だったのではないかと考えられる。

想定外の事態に対して家族のリアクションがやたらと薄いのは、
まりながそれらの反応を用意していなかった(または想像できなかった)から
ではなかろうか。

ただし、全てが夢で創り上げた架空の出来事というわけではなく、
一部の事象は現実であったことを反映しているようだ。


誰が見ている夢なのか

これら一連の事件を「夢」と認識しているのは、日記の記述者(=現まりな)のみなので、
現まりなが見ていた夢なのは明らかである。

真END後、Melodyの部屋に観葉植物くんが増えていたり、
新たな追跡者としてDolly改が増えていたりするのは、
まりなの行動・精神状態が影響しているためであると考えられる。
(観葉植物くんは全てを見ていなかった)


家族まとめ

ゲーム内世界を現まりなが見ていた夢と仮定した場合、
一家に何があったのかを推測してみた。

・Tabby(まりな)
 
現人格:
 プレイヤーが介入できないまりなの主人格。本名はTabitha(タバサ)。
 現実世界のDaddyを散弾銃で殺害したが、その際に片腕を失って昏睡状態になった。
 辛すぎる現実からの逃避と家族への想いから、夢世界と夢まりなを創造した。
 真ENDではプレイヤーの操作なしに人形遣いを叩き切ったので、
 そのあたりで夢と現の人格が統合された様子。
 片腕を失った原因は不明だが、
 斧で斬られたか散弾銃が暴発した可能性が考えられる。
夢人格:
 プレイヤーが操作可能。
 ループする世界を何度も死にながら必死こいて打開しようとする存在。
 現まりなの「現実を直視したくない、過去に戻りたい」という願望と、
 「現実を受け入れないといけない」という想いが組み合わさってできた人格だが、
 主導権を持っている期間が長かったせいか、
 真END後も度々夢で登場することになる。
 萌え袖なのは、現まりなが片腕を失ったという現実を直視したくないため。
 現まりなが眠りに入ると、夢まりなが活動し始めるらしいので、
 実質『秘封ナイトメアダイアリー』である。

・Melody(MZ姉貴)
 
現サイド:
 まりなの妹。v1.5 Melody編で主人公に昇格。
 (原文でまりなのことを「Big sister」と呼んでいる人物がいるため、妹で確定。)
 首吊り自殺を図ったが、どうやら一命を取りとめて昏睡状態にあるらしい。
 自殺の理由はまりな以外の家族を失ったことに絶望したのか、
 あるいはまりなと共謀してDaddyを殺害したが、
 後々良心の呵責に耐えかねたのかは不明。
夢サイド:
 現まりなが記憶の残滓から創り出した家族...だったが、
 v1.5で主人公になったことで、Melody側の視点が見られるようになった。
 厭世的かつ生に執着がないのは、
 ボーイフレンドのTobyをDaddyに殺害されたことと、
 それを発端にDaddyから虐待を受けるようになったため。
 実は本当の「見える子ちゃん」で、部屋の電気が消えているのはそのせい。
 (暗い方が見つけやすいらしい)
 ちなみに水恐怖症で、ピアノ演奏中に水をぶっかけると発狂する。

・Mommy(KNN姉貴)
 
現サイド:
 まりなの母。本名はLisa(リサ)。故人。
 髪の色から察するに、たぶんまりなは母親似。
 死因は刺殺で、その後バラされた模様。
 容疑者はTabby・Melody・Daddyの3人だが、
 3人共積極的に殺害する理由が見当たらないことと、
 Melody編で子育てのノイローゼからアルコール依存症に陥った様子が見られるため、
 おそらくは自殺か、あるいはDaddyが殺害したものと思われる。
夢サイド:
 現まりなが記憶の残滓から創り出した家族。
 飯を作って酒を飲む以外のルーチンがないのは、
 Mommyがそれほど姉妹と関わらなかったせいなのか、
 パパっ子だったまりなにそれ以外の記憶がなかったからなのかは不明。
 死者蘇生されなかった場合、解体されて冷蔵庫に詰められている姿が確認できる。

・Daddy(朗読兄貴)
 
現サイド:
 まりなの父。故人。
 死因はまりなによる射殺または斬殺。
 元々は家族想いの良きパパンであったようだが、
 MelodyとTobyの関係について、
 「大事なものを奪われたように感じた」と言及していることから、
 Tobyを監禁して殺害した後、特にMelodyに対して虐待を行っていた可能性が高い。
 家族を殺害しようとした理由は、虐待の果てか、
 あるいは一家心中しようとしたためか。
夢サイド:
 現まりなが記憶の残滓から創り出した家族。
 0時になると出現するボス的存在。
 斧が届かないため、倒す際は射殺することになるが、
 これは現実世界の殺害方法が反映された結果かもしれない。  

・ネコ(課長)
 
現サイド:
 一家のペット。生存するか否かはMelody編の行動で決まる。
 生存した場合は、その後ちゃっかりラストシーンに登場したりする。
夢サイド:
 現サイドに同じ。
 正直、夢サイドでのネコは単なるオマケか邪魔キャラ扱いである。かなしいなあ。

Toby
  
現サイド:
 Melodyのボーイフレンド。故人。
 死因はDaddyが監禁して悶絶少年したことによるものと思われる。
夢サイド:
 8:30時点で既に死んでいるため、通常のルートでは会話すらできないが、
 真ENDルートでのみ会話可能になる。
 Melody編で当人から「好きだよ」とのセリフを聞けるので、
 Melodyとはそれなりに深い仲であったようだ。
 Tabbyに対する態度から見て、Tabbyとの仲も悪くはなかった様子。

・Marty(ゆうま)
 
現サイド:
 まりなのペット兼友人的な何か。
 登場人物の行動に関わらず、夢現、両方の世界で健在であるため、
 もしかしたら事件後にできたペット的な何かなのかもしれない。
 まりなとの結び付きが強く、Melody編では一切登場しない。
夢サイド:
 現まりなが記憶の残滓から創り出した存在...かと思いきや、
 一緒に真ENDを迎えると、エンディングでも頭の上に乗っていたりするので、
 夢世界の喋るMartyくんの方が、仮初の存在である様子。
 まあゲーム的に言えば開発が用意した救済措置なんですけどね。
 頭に乗せると移動速度とスタミナの上限値が上がるが、意外とメンタルが弱く、
 家族を殺害したりすると次のループでは協力してくれなくなる。


怪異まとめ

ゲーム内世界を現まりなが見ていた夢と仮定した場合、
登場する怪異は一体何者なのかを推測してみた。

・悪霊(トイレの神様)
  
現サイド:
 まりな一家が越してきた家に取り憑いている悪霊的な何か。
 本当に悪霊が存在していたのか、
 それとも度重なる不幸を姉妹が悪霊に見立てたのかは不明。
夢サイド:
 現まりな自身の罪の意識や、現まりなが否定している・したい部分の具現化。
 いわゆる「影」(シャドウ)。
 
 現まりながしたこと、あるいはできなかったことを夢の世界で突きつけ、
 現まりなと夢まりなを苦しめ、いずれは主人格を壊し、取って代わるのが目的。
 現まりなは、家族の死と腕の喪失を否定したいがために夢の世界を創り上げたので、
 夢まりなが家族を殺すことで、現まりなに現実を突きつけることには協力するし、
 逆に夢まりなが家族の死を防いで、現まりなの望む世界にするのは阻止したがる。

 ちなみに、シャドウを否定するだけでは自己受容は進まないので、
 現まりなが現実を受け入れて前に進む覚悟を決めるために、
 皆殺しENDは必要な要素となっている。

人形遣い(朗読兄貴)
 
 現まりなの自己肯定の具現化。
 あるいは姉妹の無意識に住み着いた悪魔的な何か。
 夢世界を作り、傀儡の家族を操っている。
 「目が覚めて現実を知っても碌な事ないし、夢の中で家族と楽しく生きようよ」
 と唆し、まりなを夢の世界に留めるのが役割。
 Dollyを端末にして夢まりなを諦めさせたり、
 真ENDで腕を千切るように仕向けて現実を受け入れさせたり、
 何かといい仕事をする。
 また、真END後にもう一回真ENDを見ると、
 「いつか戻ってくると思ったよ、ボカァいつでもここにいるからね」的な事を言う。

 悪霊(シャドウ)とは世界が繋がっていないので、
 お互い積極的に助け合うつもりもない様子。
 というか、そもそもお互いの存在を認識しているのか不明。
 斧でカチ割られたのは、まりなが斧最強論者だったから?

・Dolly
 
 現まりなの記憶の残滓から創り出された存在。
 あるいは付喪神化して意思を持った怪異。
 まりなを夢の世界に留めて、外に出さないことが目的。
 エンディングの度に出てきては、「大人しくするアルヨもう...諦めるアル」
 などと煽ってくるので、一見すると黒幕に見えなくもないが、
 メリメリ言ってるクソ人形と比べると三下もいいとこである。(何だよKKY姉貴って)
 真ENDを迎えると、以降はエンディングでも上半身がどこかに消えてしまうが、
 もう一回真ENDを見ると、
 「まだ吹っ切れてないの?哀れだねえ」的な事を言われる。
 やはり煽り全一。

・Dolly改
 
 夢まりなに斧でカチ割られた恨みを晴らすため、移動能力と攻撃能力を得たDolly。
 高速移動能力を持っているため、振り切るのは至難の業だが、
 よく勝手にコケてはハサミが顔面に刺さって自爆している。
 Melody編でも同じ姿で登場するが、こちらでもコケて自爆する癖は直っていない。
 まりなの夢世界でDollyとDolly改が同時に存在することがあるのは、
 たぶんグリッチか恨みパワーによるものであろう。
 やはり人形の恨みというのは怖いメリねぇ。

・隣人
 
 現まりなの良心の具現化。いわゆる「超自我」。
 普段は窓から覗いているだけで、こちらからアクションをしないと何も話さないが、
 夢まりなが先に進むにあたって必要な助言をくれるあたり、
 「現実を受け入れて前に進まないといけない」とは思っているらしい。
 でも超自我なので、見てるだけという立場は変えるつもりがない様子。
 首を落とすと、次のループでは怒って助言をくれなくなる。 

・蛙の王(SWK様)
 
 真END後、まりなが現実を受け入れた後でのみ登場するボス。
 引越し先の家が田舎だったせいか、
 それとも入院している病院が田舎なせいかは知らないが、
 隣人(超自我)が「寝不足で困ってる」と言うあたり、本気で蛙がうるさいらしい。
 まあ慣れない環境だと雑音が気になるってことはあるし、多少はね?
 倒すと中の蛙と友達になる辺り、クソデカネズミと似たようなところがある。
 友達になる=克服するということなのだろうか。
 原文では「僕らはいい友達になれそうだね」とは言っているが、
 週のオナニーの回数までは聞いてこない。当たり前だよなあ?

・クソデカネズミ
 
 現まりなのトラウマの具現化その1。
 小さい頃にネズミにかじられて高熱を出したことがあるとかなんとかで、
 現まりなはネズミ恐怖症らしい。
 餌を与えて話せば分かってくれるあたり、ある程度は克服できている様子。
 v1.4以降では、11時を過ぎると寝るようになった。

・走るKBTITBBみたいな何か
 
 特に意味のある存在ではない。
 視界の端を横切った何か、なにか見えたような気がする、その程度の存在。
 夢ってなんかそういうよく分からないのがいたりするよね、という理解で十分。


結局なんだったのか

ストーリーを簡潔に説明するなら、
「辛い目に遭って現実を直視したくなかった少女が、
 逃避先の世界で現実を見直して、
 生きていく気力を取り戻す、自己受容のお話」
である。

怪異てんこ盛りなので一見するとホラーゲームのように見えるが、
早い話、やってることはアリス・イン・ナイトメアと一緒なのである。


じゃあ俺はSteamに、新しいリョナゲーを探しに、行くから...